刻印が初めてと言う方のために、刻印方法をまとめた記事を書かせていただきます。
刻印方法の前に、まず革について少し書かせていただきます。
基本的にオイル処理されていないタンニンで鞣されたヌメ革なります。
(クロムレザーでも刻印ができるものもあります。)
もともとの革の状態や製造方法で刻印の入りやすさは変わってきます。
お手持ちの革が刻印できるかどうかの、判断方法です。
見た目はそっくりです。
2種類に革を水に少し濡らしました。
上は染み込んでいますが、下は染み込んででおりません。水を弾いてしまいます。
下側の革は刻印できません。(刻印できたとしても浅くしか入りません。)
※ヌメ革は一瞬で水を吸収します。水分の吸収に時間がかかる革は綺麗に刻印できない可能性が高いです。
※染色されたヌメ革(赤、黄色、緑など)水の吸収は通常のヌメ革より時間がかかります。
刻印は可能ですが、刻印した部分の色の変化は通常のヌメ革に比べ少ないです。
私は何千回と刻印してきましたが、刻印しやすい革と、しにくい革があります。
同じ1枚の革でも、場所により違う場合もあります。
刻印するときの力加減など、その革に合わせて対応する必要があります。
革を購入するときに購入先に問い合わせていただくのが間違いないと思います。
それでは刻印方法についてです。(刻印するときは革に水を吸わせてください。)
まず打刻です。(打刻をご希望の方は、打刻仕様∔2000円でご注文ください。)
メリット 大きなサイズの革でも場所を選ばず、刻印できる。手軽に刻印できる。
デメリット 大きいサイズの刻印は入りにくい。
力が均等にかからないようなデザインの刻印の場合、力がかかってしまう方に強く刻印が入ってしまう。
では画像で見てみましょう。
叩く道具は樹脂ハンマーか木槌でお願いします。
金づちはやめてください!打ち棒に傷がつきます。
当店の打ち棒は、手で持った時に叩く部分が出るようにしてあります。
打刻は土台がとても大事です。
(とりあえず近くにあった金属の板の上で打刻していますが、これは貧弱です。下記に推奨の土台の画像を掲載しておきます。)
大理石や切り株などを下に引いてやられる方も多いです。
衝撃を受け止めることが出来ない土台では、打刻はうまくできません。
私はわざと机の柱の上で刻印して衝撃を受け止めるように打刻しています。
また革の下に金属の平らなプレートを敷いています。
一発勝負です。やり直しは打刻の場合難しいです。(やり直しはしていません。)
画像で見て、お解かりだと思いますが、小さい文字の方が刻印が深いです。
これは、小さい文字の方に力が加かってしまったということになります。
打刻の土台
これくらいの強固な土台の上での打刻を推奨いたします。
打刻の動画です。
次はC型クランプです。
メリット お手軽 刻印の力加減を調整できる。
デメリット 刻印できる範囲が限られる。大きい刻印には大きいC型クランプが必要
大きな革の中心には刻印できません。
小さい革でしたらこのような感じで刻印できます。
刻印に傷が付くので上に一枚、革や木を挟みます。
斜めになりやすいので注意してください。横から除きながら、押さえる場所を変えたりして全面に力を加えます。
こんな感じです。
小さい刻印の場合はC型クランプの向きを反対にしてください。
このようにすると、印が廻されることがなく刻印できます。
C型クランプの使用方法に決まりはございませんので、刻印にあった使い方をお願いします。
C型クランプの注意事項
机の端で挟む場合、机の板が空洞だと割れる危険があります。
中身がつまった板で挟んでください。
最後にハンドプレス機です。
私の経験からして、一番安定して刻印できます。
メリット 安定して刻印できる。抜き型などにも使用できる。
デメリット でかい 重い 高い 専用の冶具などをつける必要がある。
女性の方が、ほいほい動かせる重さではありません。
これを使われている方は、専用の置き場が確保できる方に限られます。
ハンドプレス機だけ買っても刻印に利用できない場合があります。
点で押すより面で押すほうが、良いと思います。
(汚いから画像のアップはできません!!錆が・・・)
赤い部分のような平らの板を上から押し付けるような冶具がついていないと、抜き型には利用できません。
購入を検討されている方はこの辺が良いと思います。
上部に平らな板をつけてください。
ハンドプレス機の冶具の中心が一番力がかかります。
板があるからといって全部均等に同じ力ではありません。
抜き型や刻印するものによって高さが変わりますので、革の下に板を敷いて高さ調整をしています。
現在、レザークラフト用にいろんなプレス機が販売されていますが、画像を見るだけですが、
「これ、大丈夫か?」というのもございます。
安いものはそれなりです。(高くても怪しいものもございます。)ご注意ください。
小さいものの場合ですが、このよう位置決めをしてハンドプレス機にセットします。
中心が一番力がかかるので、そこでグイグイと位置を動かして2回ほどプレスします。
(刻印の大きさにより、変わります。)
綺麗にできました。
いろいろ説明させていただきましたが、このやり方がベストではないと思っています。
刻印の大きさやデザインなどで、刻印方法や力加減を変える必要があります。
みなさんいろいろ工夫して刻印されています。
綺麗に刻印するには、少なからず練習が必要です。
また良いやり方がありましたら掲載させていただきます。
合皮には刻印できないの?というご質問もありますので、これを使ってまた今度、ブログに載せます。
2020/1/18
ご購入さまよりバイスで刻印したら綺麗にできましたよ とご報告をいただきました。
画像のようなバイスでも綺麗に刻印できるようです。
ステンレスの板などを引いて改良したいとのことでした。
(みなさま工夫されています。)
※刻印のサイズによっては工夫しないとはみ出してしまう可能性がありますのでご注意ください。
小さい文字の再現性については、こちらを参考にしてください。
26engrave(ニーロク エングレイブ)は低コストでオリジナルの真鍮製の刻印をオーダー製作しています。
頂いたデザインを刻印にすることも、ご要望のデザインを26engraveで製作することも可能です。(詳しくはホームページをご覧ください。)
レザークラフトをされている方、お気に入りの革製品やハンドメイド作品へのワンポイントにおすすめです。