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刻印実験

2019-03-16

細線はしっかり再現されているか?

刻印を製作するにあたり、大切なことに細線の再現があります。


細線をしっかり再現するには、機械や刃物や加工についてを熟知していないとできません。

ここをしっかり再現することで技術料という費用をいただけると思っています。


再現できている画像です。再現できていないと消えかかった文字になってしまいます。ぱっと見は問題ありませんが、不具合も発生します。

Exif_JPEG_PICTURE


細線が消えているということで発生する問題です。


①細線が細くなっているということは、黒くなる部分は細くなり、白くなる部分が大きくなります。よってもとのデザインが忠実に再現されていないということになります。


②版に高低差があるので刻印したときに、浅い刻印では文字の一部が刻印されなくなります


③木への焼印のときは、高低差があることで低い部分は木に熱を伝えません。
検証はしていませんが、箔押しの際も不具合がでるかもしれません。


こちらも検証はしていませんが、強い力で押し込んだ場合、先端の平の部分が、まったくないので先端の形状がわずかに変形する可能性もございます。


細線を再現できないと上記のような問題が発生するわけです。


お手持ちの刻印が、なにかおかしいと思ったかたがおりましたら虫眼鏡やルーペで簡単に確認できます。

スマホで画像を撮って拡大して確認することも可能です。


元のデザインをできる限り再現するという気持ちがないと、潰れた消えかかったデザインの刻印を製作してしまうことになります。


コストばかり意識せず、良いものを製作することを一番に考えていきたいと思います。

2019-01-26

刻印実験 なぜ綺麗に刻印が入らないのか? ダラっとしてしまう原因

お客様からいただく質問で

 

「現在もっている刻印が綺麗に入らないです。26engraveさんで製作しても同じようになってしまいますか?」

 

このような質問をたまにいただきます。

お話を詳しく聞くと原因はこれでないかと思ったので、説明させていただきます。

原因は刻印の立ち上がりの角度です。
(当店では30度になるように製作しております。)

 

ここになります。

ここの角度で刻印の入りが変わってきます。
どう変わるか実験してみましょう。

 

このようなものを製作しました。

製作方法は彫刻加工ではありませんが、精度はしっかりでております。

(ここの作りがいい加減ですとしっかりとしたデータが取れません。)

 

わかりやすく幅0.3㎜にしましたが、これ以下でも製作できますので誤解しないでください。
(加工できる最小サイズではありません。)

イメージではこのようになるわけです。

革の厚み1.5㎜

斜めの部分って刻印するとどうなるの?

こうなります。

Exif_JPEG_PICTURE

角度が大きい刻印ほど、ダラっとしているのがお分かりいただけると思います。

ダラっとする分、幅も太くなります。

 

 

ではこのようになった場合はどうなるでしょうか?
実際の刻印は細かい線と溝があつまってできている場合が多いわけです。

 

 

 

 

これで刻印すると予想通りですが、こうなりました。

今回使用した革の厚みは1.5㎜です。もっと薄ければ画像ほど角度による差はわかりにくいかもしれませんが、厚い場合はさらに顕著になります。

 

まとめ

角度が大きい刻印のデメリットですが

①刻印したところの周辺部分がボケて再現される。
②線が太く再現されてしまう。
③刻印が入りにくい。

このため、細かい部分の再現が綺麗にできないわけです。

 

角度が小さい刻印のメリットですが
①画像からもわかるように綺麗に再現することが可能です。
②角度も急なので、刻印が入りやすいです。

角度が小さい刻印はビシっと入り、角度が大きくなるとダラっとぼやけて再現されるわけです。

 

深く入りすぎてしまう場合は、力を加減すれば良いだけです。デメリットはほとんどないと思います。

強度的な問題ですが、刻印は上からの縦方向の力です。縦方向の力には強いです。真鍮製の刻印の場合はまったく問題ありません。

横からの衝撃には弱くなりますが、通常の使用で横から力が加わることはありません。

硬い場所に落としたら破損します。しかしこれは全ての角度の刻印にいえることです。

金属や木に刻印したりした場合も、もちろん傷つきます。

 

じゃあ角度は0度が一番いいのでは?という声が聞こえてきそうですが、0度での製作はいろいろ問題があり難しいわけです。
私は0度でラフな刻印は見たことがありますが、深く彫って微細な加工をしている0度の刻印をみたことがありません。

 

30度で刻印を製作するというのは、切削加工では角度の大きいものより難易度が上がります。
刃物が欠けやすい、切削量が増える等の問題があるわけです。

 

しかし画像から見ていただけるように刻印をした時の出来栄えにこれだけの差がでるわけです。今後も角度の仕様は変えず30度で製作したいと思います。

 

現在お持ちの刻印が綺麗には入らないという方は、一度刻印の角度を確認されてみてはいかがでしょうか?

少しでも参考になれば幸いです。